フォナック バート B-チタンのサポート

バイオメトリック・キャリブレーションとは何ですか？

a.バイオメトリック・キャリブレーションは個人の耳の解剖学的構造に合わせた補聴器の指向性を仕立てます。昔は、指向性はマイクロホンの深さに関係すると考えられていました。この方式はKEMARの耳を基にされたものでした。マイクロホンの深さであるという考えは大きいフルシェルタイプの補聴器には最も正しいと言えます。フェースプレートが耳の中に深く収まるほど、顧客の耳とKAMARの耳に相違が生じます。以前のモデルでは、音が補聴器のマイクロホンに到達する前に、全く異なる個人の耳がどのようにして音波を変化させているかということは、補聴器では分かりませんでした。

b.バイオメトリック・キャリブレーションは顧客のインプレッションから1600人以上の個人データ情報を抽出して開始されます。それから、RSM[1]のバックグランドで働く耳モデルのアルゴリズムと比較され、音が補聴器のマイクロホンに到達する前と耳介で影響される音にどれくらいの差があるのか決定します。その後、顧客の耳は耳モデル、そしてその2つの差と比較されて、個人の耳の構造に合うよう校正されます。結果、音が補聴器のマイクロホンに到達する前に、どのようにして個人の耳が音を反射しているのか分かる指向性となるのです。

AOVやAOV-Oとは何ですか？バート BでもAOV-Oを利用することは可能ですか？

a. AOV（音響的に最適化されたベント）は、性能を妥協することなく、個人の耳の解剖学的構造を基にできるだけ大きなベントを作製する、長年にわたりフォナックが使用している独自のベント径アルゴリズムです。ベント径の背景には、可能な限り直接音を入れるという基本的な考えがあります。同じオージオグラムを持つ異なる被験者3名に同じ2.0mmのベント径を手動選択したところ、閉塞感に関して3人から全く異なる反応が返ってきました。この異なる反応は、耳の解剖学的な違いによるものということが説明できます。ベント径を2.0mmに手動選択すると、外耳道のサイズやベントの形状によって、音響ベント質量がより小さくなることもあります。AOVは耳の解剖学的構造に合わせてベント質量が計算されます。AOVはインプレッションを考慮した後、2.0mmのベント径が最も聴覚的に適切で、効果的なベント質量も2.0mmであるか確定するために計算します。AOVのアルゴリズムは、最も適切なベント質量を選択するため、インプレッション以外に4つの項目を考慮します：①閉塞感に対するリスク、②ハウリングに対するリスク、③直接的な音補償、④必要となる低音域の利得。

b. AOV-Oはバート B-チタンから取り入れられた新しいベント径です。現在のところ、チタン以外の製品で使用することはできません。新しく選択可能なベント径AOV-O（音響的に最適化されたベント－オープン）は、バート B-チタンの見えにくい小さいサイズを希望しながらも閉塞感のリスクは避けたい人、さらに言えば、快適性が最も優先順位として高く、サイズや性能は2番目であるといった低音域がほぼ健聴であるような人が対象です。前述したオージオグラムによるAOVのベント径はより大きくなる可能性があります。AOVが計算するものよりもさらに快適性を希望する場合はAOV-Oを選択すべきです。必要または効果的であると判断されると、バート B-チタンのシェルの薄さが0.2mmの厚さになるようAOVの計算に自動的に組み込まれます。AOV-Oは閉塞感が非常に気になる人に利用します。AOV-OとAOVとの違いは、AOV-OはAOVを修正した基準を使用しているという点です。

c.  AOV-Oはバート B-チタンでのみ利用可能です。チタンは頑丈な金属を使用しており、シェルの厚みは0.2mmで印刷されます。よりオープンな調整を希望する場合、薄く作製することで内部が省スペース化され、ベント径を大きく開けることが可能になります。アクリル製シェルではできないので、アクリル製のバート BにAOV-Oを使用することはできません。